人、街、酒

第9回

ギター一本抱えて街から街へ。音楽で人と人をつなぐ桑名晴子さん。出会う人、自然、モノについて語ります。


 冬の間は、ライブ活動を控えめにして、ハワイ島に旅立った晴子さん。1月末から半月の滞在を終えて、2月8日に帰国しました。

心のよりどころ

 1970年からハワイ島に行くようになったのですが、若い頃はバイトしてお金貯めて、1年に1回はハワイ島に行っていました。兄のことがあったりで、今年は4年ぶりのハワイ島でした。
 ハワイ島の蒼く乾いた空気感が大好きで、それを歌に入れたくて、1976年のデビューアルバム「ミリオンスターズ」もハワイ録音しています。インディーズになってからの初版アルバムも、マウイ、ハワイ島で録音しました。私にとって、ハワイは自分を解き放てる場所になっています。

守り神との再会

 ハワイ島の海の守り神とも言われている亀さんとも再会できました。
 この亀は、ある日シャークに襲われ甲羅のてっぺんを大怪我したので、捕獲されてホノルルで治療を受けました。その後、海に還されたのですが、数ヶ月後、自らハワイ島に戻ってきたのです。海の中で向き合って「ありがとう」って、お辞儀したら、なんと、同じように頭を下げてくれたんですよ。大感激でした。

思い出そう!

 年明けくらいから、愚痴っぽくなって、まるで登校拒否の子供みたいになって、ライブをすることに自信喪失気味になっていました。もちろん、ステージに立ってみると、楽しいし、お客様のために精一杯歌いきれるんですが、何かもやもやしていました。
 「変わらないと! 変えよう!」と思いながらも、なかなか変えられない状態が続いていました。ある時、思ったんですね。「チェンジ! 変えよう」ではなく、「リメンバー!思い出そう」だと。道を間違ったと思ったら、出発点に戻ればいいだけです。私は「檻の中のライオン」を辞めて、大地に生きるライオンになることを選んだのですから、大地に足を下ろすだけのことです。そう思ったら、とても気持ちが楽になりました。春から歌旅を再稼働しますよ。
 3月27日は、西宮市の「イエロー・リボン」でご近所ライブをやります。ぜひお越しくださいね。
つづく


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