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 介護の情報を集め、見やすいスタイルの「介護ライブラリ」として2012年からネットに公開している、山本さんを訪ねました。

 ていねいに取材をされた情報が掲載されていますね。

 現在、芦屋・西宮・宝塚エリアで130カ所ほどの情報を掲載しています。自分自身が、祖母の介護をしていた時に、得られる情報が少なくて、「みんなはどうしてるのかな?」「こんな時、どうすればいいのだろう?」と手探りのような状態になって、とてもつらかったものですから。介護をする人の立場に立って、必要な情報をお届けできるようにと心がけています。

お祖母さまの介護は、おひとりでされたんですか?

 母を手伝ったことがきっかけです。祖母は手首を骨折してしまいまして、一人にすると痛めた手にさらに負担をかける可能性があって、24時間見守る必要があったので、夜間は私が見ることに。祖母の介護に役立てようと、ヘルパーの勉強をしていたところ、研修の中で訪れたデイサービスで声をかけていただいて、介護の職に就くことになったんです。昼間はヘルパーとして働き、自宅では祖母のそばにいる暮らしになりました。
 やがて祖母が他界した後、ヘルパーの勤務を退職しまして、介護ライブラリの準備を始めました。情報を手にすればするほど、もっと生前の祖母にしてあげられることがあったのではないか? と思うことが出てきまして、介護をされる方にぜひお届けしたいと思い立ったのです。

介護をしている家族は孤独になりがちですよね。

 そうなんです。なかなか人に「助けて!」と声を上げることができないのが、介護をしている方たちです。ちょっと知ってみれば、手を貸してくださる方もあるし、同じ立場の人たちと繋がることもできますし、お世話の仕方もわかってくるし、介護と言ってもいろいろな選択肢があることもわかります。

イベント情報や、ワンポイントアドバイスなども掲載されていますね。

祖母の場合もそうでしたが、認知症の方のお世話は、そうとう慣れた方でも大変です。でも、お互いにストレスを小さくしながら介護をするコツはあるのです。そんなことをちょっと知るだけで、ずいぶん気持ちが軽くなるものなんです。

具体的には、どんな対応をするのがよいのですか?

 まず否定をしないこと、丸ごと受け止めることが大切です。「物がなくなった。誰かに盗られた」とおっしゃる方に対しては、「そんなわけないでしょう! 自分が置き忘れたんでしょう?」と言うのではなく、「では一緒に探しましょう」と探してみる。見つけるときは必ずご本人に見つけてもらうことです。「ご飯を食べていない」と言い張る方には、「ちょっと待ってくださいね。今作りますね」と時間稼ぎをしたり、一日のお食事を数回に分けて食べて貰ったりします。 こんな風に少しずつコツを掴むことで自分なりの介護の方法を見つけられたりもするんですよ。

 楽しむ境地に達することができるようになるまでは、いくつかの段階が必要でしょうが、介護をする人が孤立しないことで実現可能にできそうです。


http://kaigo-library.jp/


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