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   編集長・正木京子のこの人に会いたい!
 西宮北口駅南で、「中国文化芸術センター」を運営する王さん。画家として水墨画を描く傍ら、絵画教室と中国語教室の講師としても活躍中です。

日本とは何かつながりが?

 そうですね。若い時の日本人の友人との縁がつながりになりました。私は北京の出身ですが、日本への憧れは、北京で開かれた「東山魁夷展」を見た時から始まりました。文化大革命以降、海外の芸術が全く入って来なくなっていましたので、その展覧会で見た作品に感動しました。描かれた日本の風景があまりにも美しくて「こんな素晴らしい景色の日本を見てみたい」と夢見るようになったんです。でも簡単に叶うような願いではありませんでしたね。

来日のきっかけは?

 北京大学に留学して、大学の寮に滞在していた日本女性のAさんと出会ったことでした。当時、私はある雑誌社に勤務していましたが、とても仲良くなりまして、Aさんが行きたいという所に一緒に遊びに行ったり、おそろいの服を着たりして、姉妹のように過ごしていました。
 夏休みにAさんが起き上がれないほどに体調を崩しまして、「暁meiのところに行きたい」と言いますので、天安門広場から徒歩10分のところにある自宅に連れてきて、家族で看病しました。
 回復後、Aさんは「私の家が保証人になるから、日本にいらっしゃい」と言ってくれたんです。
 日本では、一人暮らしを始めましたが、その時に中日間の経済格差の大きさを実感しました。なにしろ、私が日本に持ってきた百万円は、中国ではサラリーマン一生分の給料に値するくらいでしたから。母から毎日来る手紙が心の支えでしたね。

日本での活動は?

 日本画を習いたかったのですが、費用が高すぎて、結局、大阪教育大学東洋美術史研究科で2年間学びました。
 西宮に来たのは、中国人の夫が西宮に住んでいたからです。結婚後、西宮で子育てもしまして、西宮は私の故郷のようになりました。
 このセンターは、創立してからもう20年になり、主に中国語と水墨画、二胡教室を開催しています。現在まで、たくさんの生徒たちが、日中の各分野で活躍しています。また、中国旅行、中国家庭料理の講習会・飲茶パーティーなど、中国の文化に触れられる機会を提供しています。
 私は、中国中央美術学院で学んだ水墨画の高度な技術と専門知識を生かして、個展開催等の作品発表の傍ら、「水墨画の普及」を、地域と密着した活動を展開しています。学校や老人会等へ、二胡演奏などのボランティアも積極的に伺うようにしています。
 1998年に北京市中国歴史博物館で展覧会を行った時の作品は、今も同博物館に収蔵されています。中国での活動を経て、日本の小学校での課外授業で講師になったり、作品を近隣都市の公共施設の依頼により展示したりしていますが、各ボランティア団体から高い評価と支持をいただいていることがうれしいですね。

●西宮市 高松町 11ー18
 TEL.0798ー67ー0122
 中国文化芸術センター

 


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