編集長・正木京子のこの人に会いたい!
  阪神・香枦園駅から南へ徒歩8分ほど。夙川沿いの住宅街の一角にフランスパンのお店があります。昨年6月にオープン以来、「本物のフランスパン」にこだわって営業し続け、確かなファンを獲得しています。

 フランス生まれ、フランス育ちの職人さんがなぜ西宮に?

 フランスのブルゴーニュ出身です。ワインで有名なところだからご存知でしょう? ここでパン職人を目指して修業し、パン職人指導者の資格も取得しました。シェフ・ブーランジェ(パン職人)としてフランスだけでなく海外を回り、小麦の研究者となって南アフリカにも滞在しました。カナダ、コートジボワール、エチオペア、中国、そして日本。ブーランジェを必要とする場は世界中にあります。  日本には、製パン教授としてやって来まして、当時パティシェを目指していた山崎路子さんと出会いました。彼女とはフランスで結婚し、その後北京にも移り住んだところで2人目の子供が生まれました。子供たちも大きくなってきたことだし、そろそろ人を育てるばかりでなく、自分の店を持ちたいと思っていたところに、妻の実家のある西宮によい物件があると聞かされ、この店で商品を生み出そうと決心したのです。

 あえて日本のパンに合わせていないとか?

 外国人が日本にやってきて、まずやろうとすることは、日本人の好みに合う商品を作ろうとすることですが、私は、フランスのパン屋をそのままに皆さんに味わっていただきたいと思っています。西宮という土地柄、本物指向のお客様がたくさんいらっしゃいますし、フランスの味だからこそ、訪ねてくださる方がたくさん。朝7時にはバゲットが焼きあがっていますが、朝ごはんにと買いに来られる方がありますよ。  また、路子さんはパティシエとして手伝ってくれますので、焼き菓子も置いています。店の一角にはテーブル席をご用意して、ここで飲み物と一緒に簡単なお茶やランチを召し上がっていただけるようにしました。外の景色を眺めながら、のんびりと腰掛けてくださるお客様も増えました。

 店内のインテリアも手作り感にあふれていますね

 中央の商品棚は、古木を使って専門家に作ってもらいました。温かみのあるオブジェにもなっていて、お花や緑をあしらって、季節感を出しています。このようなインテリアは、路子さんの担当で、お客様とお話しながらパンを売るスタイルは、まさにフランスのパン屋そのものです。実は、私は日本語があまり得意ではないので、お客様のお相手は任せて、店の奥で職人たちと一緒にパン作りに専念させてもらっています。

 西宮にいながらにしてフランスを味わえるぜいたくな幸せが、ここにはあります。今夜のワイン、明日の朝食と一緒にいかがですか?


■Encore un matin(オンコー・アン・マタン)
西宮市川添町4ー2
0798ー42ー8544
http://encore-un-matin.com/

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