じぇじぇじぇ!


 20年近く働いてくれた男性獣医師が病院を辞めて故郷に帰ることになった。関西に来た当初、東北出身の彼は関西弁の嵐に戸惑ったことだろう。阪神大震災の翌年、まだ多くの人が被災した状態から立ち直ることができない頃に、彼ははるばる北の地から家族とともにやってきた。手術の腕もさることながら、この10年は鍼灸治療でも多くの犬たちの術後の回復や西洋医学では回復しない犬猫たちを支えてきた。彼の勇退を惜しむ患者さんたちの声も多い。私たちもとても残念に思う。
 しかし、この病院でつちかった鍼灸の経験は、かの北の地でも活かされるはずだ。東北は酪農も盛んで、薬を使わない鍼灸は馬や牛などでも歓迎されるはず。彼の故郷、岩手県も東日本大震災で大きな被害を受けており、関西に来た時のように震災後にまた帰っていくことを思うと心が痛むが、阪神大震災から立ち上がってきた軌跡をつぶさに見てきた彼には、ぜひその息吹を持っていってほしい。私たちもじぇじぇじぇの精神を忘れないよ!

ク−パー動物病院  http://cooper-net.jp/

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